南クリニックの美容整形・美容外科トピックスについて
美容整形・美容外科を受診するときの注意事項や、国際的な美容整形・美容外科のトレンド事情など、Up-to-dateな情報をお届けします。
脂肪吸引(死亡吸引???)
ちょっと、考えてみた。脂肪吸引による死亡事故。
私が知っている脂肪吸引ならず、死亡吸引は、約25年前から散発している。「忘れたころにやってくる」とはこのことである。そこで、いわゆる「脂肪吸引」の死亡事故について、時間系列的に整理してみると、死亡原因が変化してきたことが分かってきた。
1)死亡吸引第一期(80年代)
脂肪吸引が国内で盛んになった80年代初期である。脂肪吸引の適応部位は主に腹部。この時代の死亡原因は、主に麻酔と出血多量によるものであった。
今のように、医療の中で麻酔の重要性が認識されていなかった時代のことである。術者が一人で、挿管を伴う本格的な全身麻酔を患者に施し、手術を行っていた。つまり、麻酔科医の関与なしで本格的な全身麻酔を施し、術中の管理もおろそかになっていたのである(ここで言う全身麻酔は、現在の静脈麻酔とは違うものである)。
また、カニューレ(吸引管)の太さは8から10mmと、現在主流の4mmの2倍以上。この太いカニューレでバッさばっさと、止血剤も何も注射していない脂肪層を吸引していた。吸引されたもののうち、約三分の二が血液である。手術において1000ccの出血で、女性でも輸血が必要なので、すぐに輸血が必要な出血量に達する。
この頃は、未だ美容整形手術で死亡などと言うことは、遺族も公にしたくないし、司法側も取り上げることもなかったため、一般に報道されることもなく、周知されることもなかった。
出血を嫌った美容外科医たちは、カニューレが細いほうが出血が少ないことを学び、カニューレの直径は次第に細くなっていった。
2)死亡吸引第二期(90年代から2000年代初期)
90年代になると、アメリカの皮膚科医、Jeffry Kleinの提唱したTumescent Methodが普及し始めた。これは、薄い麻酔薬と血管収縮剤(止血剤)をたっぷりと脂肪組織に注射し、局所麻酔で行われる脂肪吸引の方法である。しかし、「過ぎたるは及ばざるが如し」。局所麻酔薬も、大量に注射すれば中毒症状を起こすことになる。広い範囲の脂肪を大量に取ることはできなかった。そこで、静脈麻酔と笑気麻酔を併用して、または硬膜外麻酔を併用して、より広い範囲の脂肪吸引を行っていた。平均的なカニューレの太さは4から5mmまで細くなっていた。
この頃の死亡吸引の原因は、麻酔トラブルはあったものの、出血多量はなりを潜め、静脈血栓へと変化していった。これは、出血が少なくなったために、一度に大量の脂肪を吸引し、血管内の凝固機能が亢進して血栓ができ、それが肺の血管に詰まって呼吸不全を招くものである。アメリカの美容外科学会(2つある)はそれぞれ、一度の手術で吸引する脂肪量の上限を勧告するガイドラインを発表した。この時代、日本国内では、静脈血栓が死因と考えられる死亡事故が、私が知っている範囲で4件ある。
そして、90年代の末に、現在の死亡吸引の主な原因を暗示するかのような事故が発生する。
3)死亡吸引第三期(2000年代)
暗示的な事故とは、大阪での、術後の腹膜炎による死亡事故のことである。解剖の結果は、大腸菌感染症。つまり、腸に穴を開けてしまった可能性が高い。風聞にすぎないが、術者はかなり過激な医師で、ガッツリと脂肪を取ることで人気があったとのこと。
ここからは想像の域を出ないことだが、彼は非常に頑張って、脂肪を吸引しまくったのではないだろうか?その姿はまるでスポーツをしているように・・・。そして力余って、カニューレは腹腔内に侵入し、腸管に穴を開けてしまった。しかし、そのことに彼は気がつかなかった。なぜならスポーツをプレイするのに夢中だったから。術後、痛み止めが効かないほどの痛みを訴える患者を見て、異常に気付いた。
ここでのキーワードは、腸に穴が開いたと考えられることと、「スポーツ」つまり強い力(パワー)でのカニューレの前後運動。2008年と2009年の死亡事故と共通なのである。
2009年、国内で死亡事故が報道される。死因は腸管損傷による腹膜炎。PALシステムという、パワーカニューレの一種を使用していたとのことらしい。このPALシステムだが、約2mmの間隔でカニューレが自動的に前後運動する。硬くて繊維質の多い脂肪を、力を余り入れずに早く吸引できるということで、1990年代末期にアメリカで開発され、2000年代初期に流行した機械である。「約2mmの間隔でカニューレが自動的に前後運動する」・・・・・何かに似ていないだろうか?土木関係者ならすぐにわかると思う。削岩機である。硬い岩を砕いて穴を掘りやすくする機械である。人間の腹筋は、カニューレなどが簡単には突き抜けないほど硬い。老人であっても、少なくとも脂肪よりもは硬い。
ここからは再び推測の域だが、このPALシステムは、腹筋の硬さを、術者をして硬い繊維質の多い脂肪と思わせてしまったのではないだろうか?普通のカニューレなら、硬くて突き通せないため、そこで止まったのだろうが、不幸にしてPALは削岩機のようなものなので、腹筋と腹膜を突き抜け、腸管を損傷してしまった。
2009年の年末、Vaserという、超音波が先端から発振される機器を使用した、脂肪吸引での死亡事故が海外で発生した。超音波で脂肪を溶かして吸引する方法で、さらに強い超音波を照射して熱を発生させ、その熱で腹筋と皮膚を線状に癒着させ、腹筋が割れているかのような外貌を作成する手術である。解剖の結果は、やはり腸管に穴が開いていて、死因は腹腔内出血多量であった。
これら2つの死亡事故に共通するのは、死因が腹腔内~腸管の損傷である点である。そして、通常の脂肪吸引ではなく、脂肪層以外の組織にも作用するような機器を使用していたことである。そして、それらの機器(PALシステムとVaser)には、共通点がある。(次回に続く)
怒涛の中国編 第2回アジア美容外科学会 2009.11.07
ソウル経由で昨日、中国は鄭州(日産の工場があるのですが・・・)に着きました。現地時間午前11時です。
学会に参加する韓国のドクターたち大勢と一緒の飛行機でした。空港に降りてみて、ちょっとびっくり。人があまりいない。
空港に設置されていた、学会のカウンターでサインして、みんなでバスに乗り込んでホテルに向かう。学会自体はすでに始まっているのだが、まずはホテルにチェックインしてくれとのこと。ホテルに着いたのは1時。学会専用の特設カウンターでチェックインを済ませる。なかなか気が利いているではないかと思ったのもつかの間。部屋でくつろいでいると、内線が鳴る。
「2時に学会場行きのバスが出ます。すぐにロビーに降りてきてください。」とのこと。時間は既に1時55分。チェックインの時には、そんなこと何も知らせなかったくせに!5分で準備できるかい!
今思えば、これが中国なのである。相手のことは全てお構いなし。係の人間は、命令されたことだけはやるが、あとは何も知らないし、知らされてない。暇があればすぐにさぼる。疑問に思っても、尋ねない。というか、疑問にさえも思わない。
「じゃぁ、できるだけ早くいくょ」
と答えて、準備してロビーに降りると、バスは出発済み。
「今日は学会行かずに、ゆっくりするか」
と思って、部屋に帰る。Youtubeでも見ようかと思って、クリックしてみたが、繋がらない。YoutubeのTopに行ってみたら、やはり繋がらない。そうか、Youtubeは中国では全国的に禁止サイトなのだ。そういえば、Googleも一部禁止サイトだと聞いたことがある。
そうこうしているうちに、何だか寒くなってきたので、エアコンのスイッチを入れてみた。いつまで待っても、部屋が暖まらない。吹き出し口からは、暖気ではなくて普通の風。壊れていると思って、部屋を変更してもらうためにフロントに連絡する。すると、
「ハウスキーピングに確認させます」
とのこと。約3分後に係が到着。すると、
「現在、エアコンは全館使用できません」
と、ぬかすではないか。そして、掛け布団を置いていった。
「まてよぉ~、やたらとにこにこして置いていきやがったなぁ。」
嘘つき中国人には、日本の国内でも多数遭遇しているので、これは裏を取る必要があると思ったので、フロントまで出向いて、事の顛末を一番偉そうな奴に伝えたところ、どうやら本当に、この季節はエアコンが稼働していないらしい。その時には100%信じることができなかったが、別のフロアーに泊っている友人のDrの部屋に、その日の夜に訪問した時に、やはりエアコンが効かないので、本当だと判明した。
一応、国内資本の中では、鄭州ではNo1のホテルである。それなのにこんな具合である。日本ではビジネスホテルでさえ、1年365日、冷暖房どちらも使えるのが当たり前なのに。
壁には大理石をあしらい、ぱっと見は立派なホテルである。しかし、エレベーターの鏡の壁は汚れており、部屋の窓枠は荒っぽくコンクリートで塗り固めてはめてある。廊下の壁の大理石は、ところどころ端の方がはげ落ち、実は大理石風の貼りものを施したコンクリート板であることがわかる。まさしく張りぼての高級ホテルなのだ。
中国初日、空港を降り立ってからたった5時間で、この国に対する印象は、既に5段階評価の2であった。